観光復活には「安心安全の確保」「地域ブランド力の強化」「広域周遊化」の3つの視点が必要不可欠
コロナ禍で必須となった「安心安全の確保」の取り組み
新型コロナの感染拡大は、旅先での「安心安全」が確保されなければ観光が成立しないという現実を改めて示しました。
具体的には、マスクの着用、手洗い、アルコール消毒、検温、飛沫防止のためのアクリル板(又はビニールシート)の設置、三密回避のための適正距離の確保などに加え、観光地の旅館・ホテル、鉄道・バス・空港・タクシー会社等においては、各々の業界が策定しているガイドラインに基づいた徹底対応が求められています。
さらには、それぞれの観光地において、コロナ感染者が出た際の病院との連携体制など、有事の際に地域が一体となって対応できる仕組みを作っておくことが必要です。
こういった取り組みがあって、観光客は安心安全を感じ取り、足を運んでくださるのではないでしょうか。
この時期にこそ「地域ブランド力の強化」をしよう
地域にある観光資源の魅力を十分に伝えることはできているでしょうか?
多くの地域資源の背景には、歴史・文化・伝統といった「目に見えない価値」が隠されていることが多く、ちょっと観るだけではその価値を十分に知ることができないことが多いです。観光資源そのものだけではなく、その観光資源が持つ背景などの物語を上手に伝える取り組みが必要です。
例えば、先日行った京都の宇治は「抹茶」と「平等院」で有名ですが、各々面白い取り組みをされていました。抹茶に関しては、平等院までの参道(約160m)に抹茶関連商品を集積させ抹茶の香りを醸し出すとともに、宇治茶の歴史・文化・伝統を伝える資料室を整備していました。今では、抹茶はどこでも買え特別なものではなくなったわけですが、それでも買ってもらおうと思ったらこういった工夫が必要なんですね。
一方、平等院では、QRコードを使って歴史文化を伝える工夫をしていました。将来的には、YouTubeなどを使った動画配信やバーチャルリアリティなどで観れるともっと良いでしょう。残念なのは、撮影ができない場所が多かったことです。SNSによるPR効果が失われるので、改善の余地があるのではないかと思いました!
今後は「広域周遊化の推進」が鍵になる
地域のブランド力強化に加えて、地域間の広域移動や周遊を促すことで、各々の単体地域だけでは得られないシナジー効果を創出できる。その際に重要となるのは、共通テーマの設定です。
例えば、関西観光本部が進めているプロジェクト「プラスワントリップキャンペーン」は面白い取り組みだと思います。
紀伊半島の巡礼の旅、戦国文化・忍者の里など、地域の自治体・DMOが共有できるテーマを設定して、これまでの「点の観光」ではなく、点と点を線で繋ぐ「面の観光」が確立できれば、これまで以上の観光の底上げ可能となります。
各々の観光地での利害関係が渦巻く中で、win-winの関係を築くことは容易ではないですが、観光復活を一過性のものとせず持続可能なものとするには避けて通れない道ではないかと考えているところです。